-前回からの続き-
こうして私は「1300gカレー」に挑戦すべく、夫とともにCoco壱番屋に向かいました。本当は夫と2人で挑戦して私はあくまでも「彼に合わせて挑戦している付き合いのいい彼女」のような雰囲気でいきたかったのですが、一度成功した人はもう挑戦することはできないとのことでした。お店側としても
何度も「ただ食い」をされてはたまりませんし、そのことに関してはまあ仕方がないとあきらめました。
お店の入り口のドアを開けたとき、ショーケースが目に入りました。
近づくとそこには、まさに今私が挑戦しようとしている「1300gカレー」の
サンプルがありました。ものすごい量に私は目を疑いました。
夫は本当にこれを食べたのか!?私がそう聞くと夫はニヤーと笑い「絶対無理だからやめとけ。」「大食いコースはやめて辛さを極めたらどうか。」
とさらにニヤニヤしながら言いました。
実は私もサンプルを見た時点で「これは絶対無理。人間の胃袋の限界を
超えている。」と思ってはいたのですが、夫に啖呵を切ってしまった手前
すごすごと引き下がるわけには行きません。「私はやるよー。」と言いながら私は夫に私の財布を広げて見せました。中には小銭が数枚入っているだけです。もしも失敗したら代金を払わなくてはいけません。
(1300gカレーは1500円くらいだったと思います。)
これは「絶対に食べきってみせる。」という決意を夫に見せ付けるための
パフォーマンスでした。と同時に自分を追い込む心理的な作戦でもありました。もしも失敗したら夫に頼み込んでお金を借りることになります。
そんな屈辱を味わうわけにはいきません。
夫はニヤニヤしながら「おっ!気合入ってるねえー。まあもしも失敗しても俺様がおごってやるから心配するな。どうせこの間タダだったし。」というような事を言いました。「気取りやがって!今に見ていろ!」と思いましたがほっとしたのもまた事実です。
そんな訳で私たちは店内に入りました。
「いらっしゃいませー!」店員さんの元気な声が響きます。夕方早い時間で店内に人はほとんどいません。あまり大勢人がいると恥ずかしいので空いていそうな時間を狙ったのでした。注文の前に店内を見渡すと、アルバムが置いてあるのが目に入りました。ははあ、これが例の「成功者」たちの写真だな。私はアルバムを手にとって眺めました。いかにも「柔道部です!」というような大柄な男性、どちらかというと細身の男性、みんな空になったカレー皿を片手に微笑んでいます。しかしアルバムに女性の姿はありませんでした・・・。
アルバムを閉じると私は席に戻りました。
店員さんが私たちの席に来て言いました。
「ご注文はお決まりですか?」
私はキッパリとこう言いました。
「1300gカレーお願いします!」
-長くなるので続きます-
PR